相続登記の必要書類と手続きの注意点

相続財産に不動産が含まれている場合は、法務局に相続登記を行う必要があります。

本ページでは、相続登記に必要な書類と登記手続きの流れについて解説しています。

目次

相続登記に必要な書類について

相続登記に必要な書類には、次のように収集する書類と、作成する書類があります。

収集する書類

1 被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍、原戸籍、除籍

被相続人が出生時に在籍していた戸(除)籍から、お亡くなりになった際に在籍していた戸籍まで連続した戸籍、原戸籍、除籍を、その当時の本籍地のあった市区町村役場に請求します。

※遠隔地の市区町村役場に郵送で請求する場合は、郵便局で定額小為替を購入し手数料として同封する必要があります。

 定額小為替の購入にあたっては、額面額にかかわらず1枚につき200円の手数料が郵便局で必要になります。

※戸籍を取得しましたら、戸籍の内容を読み解き、次に取得すべき戸籍の本籍地や筆頭者を確定する必要があります。

※令和6年3月1日から、戸籍の広域交付制度が開始されています。

被相続人の戸籍、原戸籍、除籍は、お近くの市区町村役場で収集することができます。

ただし、戸籍の附票や、古い戸籍の一部など、この制度では取得できないものもあります。

2 相続人の戸籍謄本

被相続人がお亡くなりになった日以降に取得した相続人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を収集します。
被相続人がお亡くなりになる前の日付の戸籍謄本は使用できません。

3 被相続人の戸籍の附票

法務局の登記簿に記載されている被相続人の住所と、被相続人の本籍が一致していない場合、住所を確認できる公的書面が必要なため、本籍地の記載ある住民票の除票または戸籍の附票の収集をします。

登記簿に記載されている住所が記載された公的書面が入手できないときは、権利証や不在籍、不在住証明書が別途必要になります。

※長期間相続登記をおこなっていない場合は、専門家でないと困難な事例もあります。

4 相続登記する不動産の固定資産税明細書または固定資産税評価証明書

法務局に納める登録免許税は、固定資産税評価額に基づくため、本年度の納税通知書にある固定資産税明細書又は市区町村役場で評価証明書を収集します。

※これらの書類は、原則としてコピーを取って申請書に添付する必要があります。

5 不動産を相続する相続人の住民票

不動産を取得する相続人の住民票が必要になります。

住民票の有効期限はありません

6 印鑑証明書

遺産分割協議書には実印を押印のうえ印鑑証明書を添付する必要がありますので、相続人全員の印鑑証明書を用意します。

作成する書類

1-1 遺産分割協議書

特定の遺産を、相続人全員の協議により特定の相続人が相続することとした場合、例えば相続人A、BのうちAが不動産を相続とするとした場合などは、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の作成方法についてはこちら➤

1-2 相続分譲渡証明書

相続人は、遺産分割協議が成立するまでは、自分の相続分を他人に譲渡することができますので、相続分を譲渡した場合は、相続分譲渡証明書を作成します。

1-3 特別受益証明書

生前に、相続分に相当する遺産を贈与されていた場合、または遺贈を受けたことにより相続分がないときは、特別受益証明書を作成します。

2 相続関係説明図

相続関係説明図を作成することにより、戸籍、原戸籍、除籍のコピー添付が不要になります。

相続関係説明図には相続人全員を記載し、遺産分割協議による場合は、不動産を相続をする相続人の氏名の前に(相続)、不動産を相続しない相続人の氏名の前には(分割)と記載します。

3 不動産登記申請書

相続登記の申請にあたっては、不動産登記申請書を作成する必要があります。

不動産登記申請書には、申請人が押印する必要があります。
申請書が複数枚になる場合は、綴り目に契印を行います。

押印および契印は実印でなくても構いませんが、手続き完了後に、窓口で書類を受け取る際には、相続登記申請書に押印したハンコが必要になりますので、どのハンコで押印したのか忘れないように気を付けましょう。

不動産登記申請書の記載の間違いがあると補正になり、法務局から訂正に来庁するよう連絡が来ます。

次の記載に間違いがないか慎重に添付書類と突合するなどして確認しましょう。

  • 被相続のお亡くなりになった日
  • 被相続人の氏名
  • 不動産を相続する相続人の住所・氏名、持分がある場合はその割合
  • 不動産を管轄する法務局
  • 課税価格と登録免許税額
  • 不動産の表示

相続登記の不動産申請書の記載例はこちら➤

原本還付とは

法務局に提出する遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票などの書類は、原則としてすべて原本になります。

しかし、添付した原本を返却してもらいたい場合は、原本還付の手続きが必要になります。

原本還付の手続きは、返却を受けたい書類の原本をコピーして、末尾に「原本に相違ない 氏名」を記載し、押印します。

コピーが複数枚になる場合は、左側をホチキスで留めて各ページの綴り目に契印をします。

登録免許税について

相続登記に当たっては、当年度の固定資産税評価額の0.4%に相当する額の登録免許税を収入印紙で納める必要があります。

収入印紙は、郵便局、各法務局で販売しています。

収入印紙は、申請書の余白、または申請書と契印した白紙に貼って納付します。

相続登記手続きの流れと注意点

必要書類や登記申請書が用意できましたら、登記の申請を行います。

相続登記申請を行う法務局の確認

相続登記は、相続した不動産の所在地を管轄する法務局の本局・支局・出張所に申請します。

管轄は、「○○市 法務局 管轄」と検索して、法務局の管轄が記載されたページで調べることができます。

相続登記の申請方法

相続登記の申請は、管轄の法務局窓口で直接提出、または郵送により提出します。

オンライン申請は、専用ソフトのインストールや電子署名の付与が必要になるので、ご自身で手続きをする方にはややハードルが高いと感じます。

窓口で申請する場合は、受付の担当者が手続きが完了する日付を教えてくれます。

郵送で申請する場合は、各法務局のホームページに登記完了予定日が掲載されていますので、ホームページを確認して行います。

※郵送の場合は、書類が法務局に到達した日に対応した完了予定日になりますので注意が必要です。

相続登記を郵送により申請する場合の注意点

郵送により相続登記を申請する場合は、郵送する郵便の種類について次のように定められています。

不動産登記規則第53条

登記の申請をしようとする者が申請書及びその添付書面を送付するときは、書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者(以下「信書便事業者」と総称する。)による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによるものとする。
2前項の場合には、申請書及びその添付書面を入れた封筒の表面に不動産登記申請書が在中する旨を明記するものとする。

つまり、郵送により相続登記を申請する場合は、書留郵便またはレターパックプラスで送付する必要があるのです。

※郵送で受け取る場合の注意点は後に記述します。

法務局に相続登記を申請した後は

法務局で申請書や遺産分割協議書などの内容に誤りがないか、書類が揃っているかの審査を行います。

基本的に審査が順調進んでいれば何の連絡もありません。登記手続きで何も連絡がなくても心配する必要なりません。

もし申請内容に誤りがあれば、法務局の担当者から電話で連絡が来ます。

※ご自身で相続登記を申請される場合は、法務局から連絡が来る確率が高いとお考え下さい。

※遠方の法務局に申請して、補正があった場合、「法務局に行くことができないので、何とかしてください。」は、申請却下の対象に該当しますのでご注意ください。

審査が完了すると相続人が新しい所有者として登記簿に記録されます。

登記手続き終了後

登記が無事完了すると、相続人のために新しい登記識別情報という権利証が交付されます。

新しい権利証や、提出した書類を窓口で受け取るためには、申請書に押した印鑑と身分証明書を持っていく必要があります。

登記識別情報通知は、相続人1人および不動産1つにつき1通交付されます。

登記識別情報通知は、再発行できないため、紛失しないように保管する必要があります。

相続登記を郵送により受け取る場合の注意点

郵送で受け取る場合は、次のような手続きによる必要があります。

不動産登記規則第55条

4 前項の場合における登記識別情報を記載した書面の送付は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によってするものとする。
一申請人等が自然人である場合において当該申請人等の住所に宛てて書面を送付するとき、又は申請人等が法人である場合において当該申請人等である法人の代表者の住所に宛てて書面を送付するとき(第三号に掲げる場合を除く。)日本郵便株式会社の内国郵便約款の定めるところにより名宛人本人に限り交付し、若しくは配達する本人限定受取郵便又はこれに準ずる方法

6 送付の方法により登記識別情報を記載した書面の交付を求める場合には、送付に要する費用を納付しなければならない。

つまり、相続登記の受け取りは本人限定受取郵便で行う必要があります。

また、送付に要する費用分の切手を登記申請書に同封しなければなりません。

※本人限定受取郵便とは、普段あまり使わない郵便だと思いますので、郵送料を郵便局のホームページでご確認のうえ、切手を用意するようにしてください。

※料金不足の場合は、追加の切手を送付するように法務局から補正を求められますので、多めに切手を同封しておきます。

また、定型の封筒は、権利証や戸籍などの書類が入りきらないことがあるので、定型外の角2号封筒を用意します。

まとめ

  1. 相続財産に不動産が含まれている場合は、法務局に相続登記を行う必要があります。
  2. 相続登記には、多くの収集する書類と、正確に作成した書類が必要です。
  3. 法務局への登記申請は、不動産の所在地の管轄法務局へ持参または郵送により行います。

相続登記の手続きを
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相続登記には、多くの取集する書類と、正確に作成した書類が必要になりますし、法務局への申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出するなど、申請に関する細かい取り決めがあります。

ご自身で手続きを進められると、手続きのことで不安になったり、途中でわからなくなってしまうかもしれません。

司法書士つついリーガルオフィスでは、お客様が安心して相続手続きを終えることができるよう、迅速かつ丁寧に手続きの代行サポートをしています。

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